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犬の歯石除去はどう進む? 広尾テラス動物病院のスケーリングの流れ
広尾・恵比寿・西麻布・南麻布を中心に診療を行う「広尾テラス動物病院」です。
ペットが健康に長生きするためには、体のケアと同じくらい「デンタルケア」も大切です。以前の記事では、歯周病についてお話ししましたが、今回はスケーリングの具体的な流れを中心にご紹介します。
スケーリングとは、犬や猫の歯にたまった歯石を専用の機械で取り除き、歯や歯ぐきの環境を整える処置のことです。当院では毎年1月と2月を「歯科キャンペーン期間」とし、大切なご家族の歯を守るお手伝いをしています。
「なぜ歯石取りが必要なの?」「どうせやるなら、きちんと診断・治療までしてほしい」
そんな飼い主様に向けて、当院ならではの最新設備(歯科用レントゲンやレーザー・プラズマ)を用いた歯石除去の流れを、わかりやすく解説します。
■目次
1.そもそも歯石とは? なぜ除去が必要なのか
2.スケーリング(歯石除去)とは? 無麻酔歯石除去との違い
3.犬の歯石除去の流れ
4.広尾テラス動物病院のこだわりポイント
5.歯石除去を検討してほしいサイン
6.ご自宅でできるデンタルケアと、動物病院のスケーリングの役割
7.まとめ
そもそも歯石とは? なぜ除去が必要なのか
犬や猫も、人と同じように生活していると徐々に歯に汚れがたまり、まず「プラーク(歯垢)」がつき始めます。プラークは食べかすや細菌からできており、この段階であれば歯みがきなどの日常ケアで落とすことができます。
しかし、そのまま2〜3日ほど放置すると、プラークは唾液中のミネラルと結びついて石のように固くなり、「歯石」に変わってしまいます。歯石はザラザラしているため、さらに新しい歯垢がつきやすくなり、歯石が歯ぐきの近くや歯周ポケットにたまることで、歯周病が進行していきます。
一度歯石になってしまうと、日常の歯みがきだけで落とすことはできません。また歯石はどんなペットにも発生しますが、特に以下の子たちは注意が必要です。
・口の中が小さく歯が密集している小型犬
・加齢により唾液の分泌量が減ってきた高齢犬
歯石がたまると、歯ぐきなどの歯周組織に炎症が起こり、歯周病を引き起こします。歯周病が進行すると、歯の痛みでうまく食事ができなくなったり、顎の骨が溶けてしまったりすることもあります。さらに、歯周病菌が血管を通じて全身に運ばれることで、心臓や腎臓などの重要な臓器に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
こうしたリスクを減らすためにも、歯石を適切なタイミングで除去し、口腔環境を整えることがとても重要です。
スケーリング(歯石除去)とは? 無麻酔歯石除去との違い
スケーリングとは、専用の機械を使って歯の表面や歯周ポケットの中に隠れた歯石・汚れを丁寧に取り除き、歯の表面を滑らかに整える処置です。
目に見える前歯や犬歯の歯石だけでなく、奥歯の裏側や歯ぐきの中の見えない部分までしっかりケアすることが、歯周病の進行を抑えるうえで欠かせません。
近年はトリミングサロンなどで「無麻酔歯石除去」を見かけることもありますが、獣医師の立場からはあまりおすすめできません。というのも、歯石除去の際には少なからず痛みや違和感が伴い、無理に押さえつけられることで、犬や猫に強い恐怖心やストレスを与えてしまうことがあるためです。
また、表面に見えている部分だけしか処置できず、歯ぐきの中の歯石や歯周病の進行状況まではしっかり確認できないケースがほとんどです。
一方、麻酔下で行うスケーリングでは、ペットが眠っている間に安全かつ正確に処置を進めることができ、歯科用レントゲンを用いることで「見えない部分」の状態も把握しながら治療を行うことができます。
犬の歯石除去の流れ
ここでは、当院で行っている犬の歯石除去(スケーリング)の流れを、時系列でご紹介します。
■ Step1:事前カウンセリングとお口のチェック
まずは飼い主様から、普段の生活の様子や気になる症状(口臭・食べづらそう・よだれの増加など)についてお話を伺います。そのうえで、目視できる範囲の歯や歯ぐきの状態を確認し、歯石の付き具合や歯周病の有無をチェックします。
■ Step2:術前検査(全身状態のチェック)
麻酔を安全にかけられるかどうかを判断するために、血液検査やレントゲン検査などの術前検査を行います。心臓や肺、他の臓器の状態を総合的に確認し、リスクが高くないかどうかを慎重に評価します。
当院では、歯科用レントゲン(Ray Vision社)を導入しており、歯ぐきの下に隠れている歯の根っこ(根尖部)や顎の骨の状態まで詳細に確認したうえで治療計画を立てています。
■ Step3:麻酔導入とモニタリング
検査結果に問題がなければ、全身麻酔をかけて処置を開始します。処置中はモニタリング機器で心拍・血圧・呼吸状態・体温などを常にチェックし、変化があればすぐに対応できるよう安全な麻酔管理を徹底しています。
■ Step4:歯石除去(スケーリング)と研磨
超音波スケーラーという専用機器を用いて、歯の表面や歯周ポケット内に付着した歯石を丁寧に取り除きます。
必要に応じて、ルートプレーニングやキュレッタージという処置で、歯ぐきの中の汚れや炎症部分をきれいに整えます。
歯石を除去した後は、ポリッシング(研磨)で歯の表面を滑らかに仕上げることで、新たな汚れが付きにくい状態を目指します。研磨まで行うことが、再発予防の面でもとても重要です。
■ Step5:レーザー・プラズマ療法による歯周病ケア
当院では、炎症のある歯ぐきに対してレーザーやプラズマを用いた治療も行っています。
歯周ポケット内の細菌を減らし、歯ぐきの炎症を和らげることで、痛みや口臭の軽減が期待できます。体への負担が少ない治療法のため、シニアの子や持病のある子でも状況に応じて取り入れやすい方法です。
■ Step6(必要に応じて):抜歯治療
重度の歯周病で、すでに歯がぐらついていたり、根っこまでダメージを受けている場合には、抜歯が必要になることがあります。その際も歯科用レントゲンの画像を確認しながら「残せる歯かどうか」を慎重に判断します。
■ Step7:覚醒・お迎えと、当日の過ごし方
目が覚めた後の様子や全身状態に問題がなければ、基本的には当日中にお迎えとなります(状態によっては1日入院となる場合もあります)。
当日は歯ぐきに違和感や痛みが出ることもあるため、フードはふやかして柔らかくする、少量ずつ与えるなど、無理のない範囲で様子を見てあげてください。
食欲がまだ戻っていないときは、焦ってたくさん食べさせようとせず、水分がとれているか、元気があるかを中心に見てあげるとよいでしょう。激しい運動は控え、できるだけ安静にお過ごしください。
広尾テラス動物病院のこだわりポイント
歯石除去自体は多くの動物病院で実施できますが、当院では安心・安全なケアを心がけ、以下のポイントにこだわっています。
■ 歯科用レントゲン(Ray Vision社)の導入
肉眼では見えない「歯ぐきの深部」や「歯の根っこ(根尖部)」の状態まで詳細に確認できます。ぐらついている歯を残すべきか抜くべきか、顎の骨の状態はどうかなど、精密な診断に役立ちます。
■ レーザー・プラズマ療法で低負担な歯周病ケア
従来の歯周病治療に加え、レーザーやプラズマを用いることで、より負担の少ない治療を目指しています。炎症や痛みの緩和、口臭の軽減が期待でき、歯周病のコントロールに役立ちます。
■ オーダーメイドプランのご提案
年齢、全身状態、性格、生活スタイルなどを総合的に考慮し「どこまで治療するか」「どの歯を残すか」「今後どのようにケアしていくか」を丁寧にご相談しながら決めていきます。抜歯の必要性についても、メリット・デメリットをわかりやすくお伝えし、飼い主様と一緒に最適なプランを考えていきます。
歯石除去を検討してほしいサイン
次のようなサインが見られる場合、すでに歯石や歯周病が進行している可能性があります。早めにご相談いただき、歯石除去を検討してみてください。
・口臭が強くなってきた
・歯がぐらついている、物を噛みにくそうにしている
・食欲が落ちてきた、硬いものを嫌がる
・歯ぐきやよだれに血が混じる
・歯ぐきが赤く腫れている、しきりに口元を気にしている
ご自宅でできるデンタルケアと、動物病院のスケーリングの役割
歯石がたまりにくくするためには、日頃のデンタルケアがとても大切です。たとえば次のようなものがあります。
・歯みがき
・デンタルガム
・デンタルフード
・歯みがきシート など
毎日完璧にできなくても「無理のない範囲で、できることを少しずつ続ける」ことが大切です。ただし、どれだけ頑張っていても、奥歯の裏側や歯周ポケットの中まではなかなか手が届かず、少しずつ歯石がたまってきてしまいます。
そこで重要になるのが、動物病院で行うプロによるスケーリングです。
「日々のホームケア」で新たな歯石付着を減らしつつ、「動物病院での専門的なケア」で定期的にリセットしてあげることで、愛犬・愛猫のお口の健康を長く保ちやすくなります。
まとめ
当院では、歯科用レントゲンによる細やかな診断と、レーザー・プラズマ療法を組み合わせた痛みに配慮した歯科治療で、愛犬・愛猫のお口の健康をサポートしています。
1月・2月は歯科キャンペーンも実施しておりますので「そろそろ歯石が気になってきた」「口臭が強くなってきたかも」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
「広尾・恵比寿・西麻布・南麻布」を中心に診療を行う
広尾テラス動物病院
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